交差点 #5

人だかりはもう無かった 私たちが着いた時には
傍に居たのは 母親らしき女性と 男性一人と 女性一人と 学生一人
その中で電話をかけてくれたのが学生のようだった 


話を聞ける状態ではなかったけれど
誰もその場所から離れようとはしなかった
母親らしき女性以外はただの通行人だったのだろう
ただ現場に遭遇したのだろう


けど離れようとはしなかった


彼らを見て私達は助けなければいけないと
この小さな命を救わなければいけないと感じたんだ


応急処置をして 少女は病院へと救急搬送した
私は現場に残り
救急車に乗ることの出来なかった三人と一緒に病院に向かうことにした


それを彼らも彼女も私も望んだから
彼女が助かることを望んだから


彼女と話せる機会が持てることを心から望んだから


だから生きてと
神に縋る思いだったんだ