交差点 #2

単なる寝坊だった この時間に起きたのは
いつもより1台バスが遅れるとか思いながら飛び起きて家を出たのが5分後
そしてあの交差点に差し掛かったのがそれから10分後


そこに君はいた
僕より少し年下に見える君がいた


何処か惹かれた その姿に
何かを探すわけでなく 佇むだけのその姿に


唐突に 君の口が動いた


目の焦点を合わせないまま
心の焦点も合わせていないかのような
そのような 雰囲気を醸し出していた


君の声が俺の耳に届く直前
君は
冷たい刃を自分の胸に当てた


聞こえてきたのは 何かの滴る音
キミが滴り落ちていく音


俺は抱きしめてやる事も出来ずに
何故だか携帯電話を取り出して
何も考えずに救急車を呼んでいた
そしてそのまま
その場に崩れ落ちた


力が入らないのは君の方なのに
何故俺が立てなくなるのだろう
俺に出来るのは支えることぐらいなのに


なにも君の事など知らないけど
悲しみが溢れてしょうがない